激動の時代を生きた映画人たちの壮大なヒューマンドラマ!


一本の恋愛映画に込められた真実とは
カンボジアの首都プノンペン。女子大生のソポンが廃墟のような映画館で見た古い恋愛映画。何とその主演女優は母だった!美しく輝いていた母の知られざる女優時代…。40年間も母を慕い続けている映画館主。映画の最終シーンが失われていることを知ったソポンは、今は病床に伏せる母の為に、映画を完成させようと決心する。だが、その時から、軍人の父、かつて母と愛し合った映画監督ソカなど、世界を揺るがせたクメール・ルージュの時代を懸命に生きた人々の、半世紀近くにも及ぶ数奇な運命が明らかになってゆく…。 1975年からカンボジアを呑み込んだ暗黒の3年8ヶ月20日。クメール・ルージュ(※)の圧政により、カンボジア国民の4分の1の人々が命を失い、知識人はもとより、一般大衆までをも巻き込む空前の悲劇が生みだされた。『シアター・プノンペン』は、そんな悲劇の時代を潜り抜けた1本の恋愛映画を巡って繰り広げられる、壮大なヒューマン・ドラマである。
※クメール・ルージュ:Khmer Rouge(フランス語)
カンボジア共産党のこと。指導者だったポル・ポト(本名はサロット・サル)の名前をとり、ポル・ポト派とも呼ばれている。

カンボジア映画史上初の女性監督! ソト・クォーリーカー監督は、アンジェリーナ・ジョリー主演『トゥームレイダー』(01)のラインプロデューサーを務めるなど、ハリウッドで活躍。『シアター・プノンペン』の、緻密な構成と胸を打つストーリーは見る者を圧倒し、第27回東京国際映画祭国際交流基金アジアセンター特別賞を始め、数々の賞を受賞。国際交流基金アジアセンターと東京国際映画祭共同プロジェクトによる、オムニバス映画「アジア三面鏡」で、行定勲監督など三人の監督の一人に選ばれ、将来が期待されている。

カンボジアの新鋭スターと大御所女優の共演! 主人公のソポンを演じるのはカンボジア期待の新鋭女優、マー・リネット。初々しい魅力で多感な年頃の女子大生と、その母親の少女時代というニ役に挑み、鮮烈な主演デビューを飾った。母親役はカンボジア映画界の大御所ディ・サヴェット。クメール・ルージュ時代を生き延びたカンボジア唯一の女優である。この二人の脇を固める演技陣の名演技も相まって、緻密に練られた感動の人間ドラマは見る者の心を掴んで離さない。