中国のLGBT人口は約7000万人かつて同性愛は犯罪だった

母さんそれでも私を愛してくれますか 父さんそれでも僕を愛してくれますか

出櫃(カミングアウト)

監督・編集/房満満
撮影/楊林プロデューサー/鐘川崇仁
製作・著作/テムジン 映像提供/NHK
配給/パンドラ

2021年1月23日(土)〜新宿K’s cinemaにてロードショー!

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2019年|日本|54分|DCP・Blue-ray|ドキュメンタリー ©テムジン

作品概要

かつて中国で同性愛は犯罪だった―

中国に7000万人いると推定される性的マイノリティの人々。『出櫃(カミングアウト)―中国 LGBTの叫び』は、自分のありのままを受け入れてもらいたいと、親と向き合う中国のゲイとレズビアンの若者に密着したドキュメンタリーである。監督は中国出身の房満満。留学を機に、日本を拠点に映像製作の道を歩み始める。現在は株式会社テムジンに在籍し、主にテレビドキュメンタリーの演出に携わっている。

母さん それでも 私を愛してくれますか
父さん それでも 私を愛してくれますか

中国・江蘇省で教員資格の認定試験を控える谷超(グーチャオ)は、父親に「自分はゲイだ」と告白しようと一大決心をする。一方、上海に暮らす安安(アンアン)は19歳の時に母親にカミングアウトしたが、受け入れられないまま32歳に。今はパートナーの丹丹(ダンダン)と暮らしている。性的マイノリティを支援するボランティアの助けを得て、改めて母親と話し合い、受け入れてもらおうとするのだったが…。かつて同性愛が“犯罪”と見なされ、旧い社会通念が根強く残る中国。激しく葛藤し、壁を乗り越えようと模索する親子のスリリングな関係が展開する。

主人公プロフィール

谷超( グーチャオ さん

1993年中国江蘇省塩城市生まれ。一家の長男として大事に育てられた。中学校の時、ゲイであることを自覚したが、親も含め誰にも言えなかった。その後、母親が癌を患い、谷は何度も本当のことを伝えようとしたが結局は伝えられないまま母親を亡くした。地元の名門校・蘇州大学を卒業後、上海の学習塾に就職したが、自分がゲイであることはずっと周囲には言えないまま。父親は立派に育った長男の幸せを願い、しきりに結婚を話題にするようになる。谷は仮面を被った生活に疲れ果て、父親にカミングアウトすることを決意する。

安安 アンアン さん

1986年中国江蘇省張家口市生まれ。両親は幼いころに離婚し、以来、母親が女手一つで育ててくれた。安安は中学生の時にレズビアンであることを自覚し、19歳のとき初めて母親にカミングアウトしたが、受け入れてもらえなかった。母子家庭だからこそ、安安は親孝行したい思いは人一倍強く、一方で母親は「娘には自分と違って幸せな家庭を築いて欲しい」と切に願う。安安は自分が同性愛者であることを理解して欲しいと何度も話したが、母親は「女性は結婚しないと幸せになれない」と、何年経っても親子は平行線のまま。安安が30歳を過ぎると、母親は「結婚しなければ自殺する」とますます感情的になり、安安は同性愛者支援団体の支えを得て、改めて母親を説得しようと決めた。

スタッフ

監督
房満満 ボウ・マンマン

1989年中国・江蘇省生まれ。日本への留学をきっかけにジャーナリズムに関心を持ち、ドキュメンタリーを志す。2014年に番組制作会社のテムジンに入社。以来、中国の社会問題を中心にドキュメンタリーを制作し続けている。地元政府と癒着して環境を汚染する企業を相手に闘うNGO、教科書には書かれていない歴史を生徒に伝えようとする公立学校の教員、自分らしく生きたいと願うLGBTの人々、新型コロナの感染爆発のため封鎖された都市・武漢の実態など、中国社会の矛盾のなかで懸命に生きる人々をドキュメンタリーで深く描くことを目指している。2018年度ATP賞最優秀新人賞、2019年東京ドキュメンタリー映画祭短編部門グランプリ受賞。

コメント

身近な家族や友人にさえありのままの姿を晒せない。
理解は不可能だと心を閉ざさなければならない。
社会の分断が加速する中で、私たちは心の中にいくつもの壁をつくっている。
壁と向き合うことは実に苦しい。
でも、壁と向き合うことで、自らを証明する何かを見出すことができる。

阿古 智子(東京大学教授/現代中国研究)

谷さんのはにかむような笑顔に、すべてを受け入れようとする壮絶な覚悟を感じた。それでも父親を愛そうとする彼の優しさが哀しい。
近年の中国政府の動向には眉をひそめるばかりだが、忘れてならないのはそこに14億の民がいること。傷つき傷つけながら人を愛する姿はみな同じである。
彼ら小さき人々の心の叫びに、僕はエールを贈りたい。

池谷 薫(映画監督)

同性愛者が父や母に自分のセクシャリティを認めて欲しいと懇願するシーンは強く胸に響くが、私はもう一つの主題に心奪われた。親と子の絆がかくも濃いのは一人っ子政策のゆえの負の面としての家族関係の歪みなのか、観る者の読解力を問われる意欲作だ。

原 一男(映画監督)

二組の親子のカミングアウトをめぐるやりとりを観ながら、なんて繋がりの強い、お互いを愛し合ってる親子だろう、と思った。しかし、それは、親が子が同性愛者であることを完全に「受け入れる」という形で示されるわけではない。むしろ、どちらの親も、子が同性愛者であることを拒絶する。そこには、子が異性愛者であることを前提に抱き続けた、一緒に幸せになる夢の崩れたことの失望や、同性愛に対して厳しい中国社会の中での愛する子の将来への不安がある。一方、子は、愛してるからこそ親に理解して欲しいと強く願う。繋がりが強いからこそ、そこには苦しみがある。

この映画は、そうした子と親の心情と表情を見事に映し出してる。それゆえに、同性愛を変えることを求める親の言葉や、苦しむ子の姿は、ゲイである私の胸に突き刺さった。だが、5万人の会員がいるというLGBTの若者とその親たちの会「同性愛者親友会」の様子や、運営する人たちの言葉に励まされ、また、それぞれがそれぞれにカミングアウトに向き合う姿に胸が熱くなり、何度でも観たいと思った。

砂川 秀樹(文化人類学者/ゲイ・アクティビスト)

ほんとうの自分を受け入れてほしい
ただ、それだけのことなのに自分も親も深く傷つき、苦しむ。いろいろな“幸せのかたち”を認めない、この社会の一員であることをこころから恥ずかしく思う。

野中 章弘(早稲田大学教員/ジャーナリスト)

本当の自分でいたいという希求。全編に漂うすさまじい緊張感に圧倒された。「周りに白い目でみられる」「中国社会には同性愛者の居場所なんかない」「結婚しないと人生は終わりよ」「私のメンツはどうなるの」「同性愛者は泥棒のように日陰者で生きていくしかない」「メンツのためじゃなかったら何のために生きているの」親子のあいだで飛び交う鮮烈な言葉たち。これは中国社会を描いているようでいて、実はもっと普遍的な愛にまで及んでいる物語だ。そして、差別、偏見を生むものは、どこの場所であっても、固定化された家族観。「本当の自分でいたいんです」。でも、その「本当の」を決めるのは誰なのか。コロナの時代にこの問いは私たちひとりひとりに突き刺さってくる。

金平 茂紀(TBS「報道特集」キャスター)

上映情報

地域 劇場名 電話番号 公開日
東京都 K's Cinema 03-3352-2471 2021年1月23日(土)
下記サイトより、K's cinemaでご利用いただける特別鑑賞券をご購入いただけます。
(当日一般1,500円の処1,200円)
https://coming-out.stores.jp/items/5fa0eb2e72eb46602bf2a197
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