監督・脚本:ゲン・ジュン
出演:シュー・ガン、ジャン・ジーヨン、チェン・シュエンユ、ワン・チン、シュエ・バオホー
2024年/フランス、ポルトガル/中国語、英語/116分 原題:漂亮朋友
協力:大阪アジアン映画祭(映画祭上映時邦題『イケメン友だち』)
日本版字幕:藤原由希 宣伝デザイン:日用 配給:パンドラ
滑稽だな、どうしても君に会いたいなんて
解説
冷めたスープとダイニングレストラン、
ぎこちない会話、
場末のサウナのタバコの煙
国とは、自由とは、政治とは、性とは、
そして愛とは
凍てついた田舎町のダイニングレストラン。そこに佇む男たち。ぎこちない会話と目くばせ……常連のある男は冷めた夫婦生活に飽きていた──。同じ頃、街をぶらつく大餅売りは若い男と別れたばかり。ある日、カフェを装ったハッテン場で巡り会ったふたりは、街をぶらつき、サウナに籠り、求め合い、真実の愛に近づいていく──。
ブラックなジョークとユーモア、胸に秘めた高まる気持ち。すれ違う中年の男たちが紡ぐ、シュールで温かな孤独と愛。モーパッサンの古典的名作「ベラミ」(※「美しき友」の意)を下敷きに、黒竜江省のジャームッシュ、ゲン・ジュンが、凍てついた風景に孤独な魂たちを投げ込み、そこに存在してはならないはずの愛の形をオフビートなリズムで刻む。モノクロームの削ぎ落された映像が、人間の孤独と愛を、美しく、ハードボイルドに浮かび上がらせる。
かの国では上映不可能な“タブー”に軽やかに挑んだ、オフビートで異色のラブ・ストーリー
20年にわたり黒竜江省で作品作りを続けるゲン・ジュン監督が、1990年代に地元鶴岡で出会ったゲイ男性の悲劇的な経験をもとに、オフビートなユーモアを交え昇華させたラブ・ストーリー。“人間同士の温かな抱擁”をテーマに、監督と旧知の俳優陣が実名で登場し、中年の男たちのほろ苦くも温かい人間模様を描き出す。同性愛や体外受精、偽装結婚などのテーマを盛り込んだ本作は、中国当局を経ず台湾金馬賞に出品され、主演男優賞、撮影賞、編集賞、観客賞の4冠に輝いた注目作である。
物語
中国黒竜江省の雪深い町。シュー・ガンは、大餅を作りバイクで配達する日々を送っている。客から「小さい」「髪が入っていた」と言われても無言で寒風の中走り続ける。恋人で理髪師の若い男シャンチュエンに別れを告げられても執着を捨てられず、彼の店へと赴く。ある日、三度目の別れを告げられたシュー・ガンは、店の石鹸の匂いを嗅ぎながら干してあるブリーフを手に、虚ろにシャンチュエンの店を後にした。
同じ町で古道具屋を営むジャン・ジーヨンは、妻との関係が冷え切っている。食堂で向かいの席の男に「同志だろ。仲間に入れてくれ」と声をかけるが拒まれ、向かいの席で情熱的にキスを交わす女性カップル、アブとリウ・インを目撃する。公衆トイレでは「同性の友人募集」の貼り紙を撮影中、個室の男に買春を持ちかけられ、股間を触ってきたので激しく拒絶。帰宅すれば妻から「この町も家族もあんたもクソ」と罵倒される。一方、アブとリウ・インはシャンチュエンとその恋人シアオ・ホータオを巻き込み、人工授精で子を持とうと計画である
同性の「同志」を求め、街をぶらつく中年の男たち。愛を貫き未来を選ぼうとする女たち。雪の街で、高まる気持ちを胸に秘め、すれ違う彼らの人間模様が展開する──。
キャスト
監督
ゲン・ジュン 耿軍 Jun Geng
中国・黒竜江省鶴崗市生まれ。映画学校は出ていない。20年来黒竜江省での作品作りを続ける。“Hawthorn”(短編/2002年)、“Diary in Bulk”(短編/2003年)、“Barbecue”(2004年)、“Airplane”(短編/2012年)など数多くの映画を監督。2009年の“Youth”はローマ映画祭に出品された。短編“The Hammer and Sickle Are Sleeping”(2013年)で金馬奨最優秀短編映画賞を受賞した。“Free and Easy”(2016年)でさらに注目を浴び、サンダンス映画祭でワールド・シネマ・ドラマティック部門特別審査員賞を受賞し、金馬奨最優秀作品賞と最優秀監督賞を含む4つの主要部門にノミネートされた。“Manchurian Tiger”(2021年)は、第24回上海国際映画祭で最優秀長編映画賞であるゴールデン・ゴブレット賞を受賞した。
コメント & 海外評
※順不同
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別離におびえながらも、
裸形の愛の星たちが自由を求め、
身をぶつけあって輝いている ─
ベ・ラ・ミ! 中国東北部の街を魅惑の場所に変えるゲン・ジュンの魔法。小野正嗣(作家、フランス文学者)
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『ベ・ラ・ミ』(美しき友)というタイトルに反して美男美女は出てきません。黒竜江省の寒そうな田舎町を舞台に、そこらへんにいそうなカッコよくない人々が恋をし、それにまつわる問題に向き合うのですが、そこにこそ人間らしい魅力がある…という映画です。
北村紗衣(英文学者)
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同性愛者が心を許せる友と出会うことが容易でなかった時代。日本ではゲイ雑誌文化が花開き「薔薇族」や「さぶ」など様々なタイプが咲き乱れました。この『ベ・ラ・ミ 気になるあなた』はゲイ雑誌に例えるならば「サムソン」系。登場人物たちのままならない生き方と姿態を愛して欲しい。
東海林毅(映画監督)
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凍てつく中国最北部を舞台にしたこの作品にモーパッサンの同名小説のような「美貌の友人」は登場しない。不器用で不細工な男たちの、煙草を燻らすことでしか場を保てないような機能不全の求め合い。それでも「絶望するな」の終盤に現れる謎の円盤と不思議な笑いのカタルシスを、私は今もしみじみ味わっている。
北丸雄二(ジャーナリスト・作家)
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私たちはどんな考えから逸脱すれば真の自由になるのだろう。
ときどき切なくて
ぶった斬られたり
クスッと笑ったり
もんのすごいシュールな映画ですが
リアルで愛しい!!!一青窈(歌手)
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ゲイ、レズビアンの問題を大胆に描いたことだけでこの映画を讃えたいとは思わない。ジム・ジャームッシュばりのセンスのよさで片付けたくもない。讃えるべきことは他にあるはずなんだけど、それが何だかわからない。でもやっぱり讃えたいのです。
柴田元幸(翻訳家)
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寒いモノクロの世界の中に閉じ込められているような気がして、思わず息を殺しながら観てしまった。ぎこちない人と人との関わりがとても美しくて。
終わったあとの爽やかな寂しさは何故だろう。イシヅカユウ(モデル・俳優)
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密やかに花開こうとしていた中国のゲイシーンは、コロナ禍以降、再び地下に潜ることになってしまったという。ジャームッシュを気取った美しい画面の下で、この映画は現在の中国の田舎で生きる隠れゲイの実態を如実に描いている。そしてこの風変わりな作品が一番に訴えるのは、人が人を愛するという単純で普遍の行為なのだ。
サムソン高橋(ゲイライター)
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誰もが自分勝手でしょうもなく、孤独で侘しくパッとせず、時に楽しく生きている。恋をした人間の陥るみっともなさや気持ち悪さまであたたかい視線で包むモノクロの質感に、「同志」として見透かされて恥ずかしいような、切ないような気持ちになった。
王谷晶(小説家)
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極寒の中国北東部、同性との関係を求める中年の既婚男性たちと、精子提供で子どもを作ろうとするレズビアンのカップル。何重にも周縁化された人々が、監視したりぎこちなく求め合ったり試行錯誤する姿を通して、抑圧的な社会とその害をユーモラスに描き出している。
鈴木 みのり(作家)
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中国発のクィア映画。母国で上映されることはないだろう。野心的で大胆で素晴らしく不条理なユーモアが通底に流れている。
Asian Movie Pulse. com
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自由への渇望。
人とのつながりへの切実な憧れ。
余すところなく人の感情を映し出す。Singapore Film Society
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つながりと愛を求める人間の姿は、根深い権威主義への抵抗でもある。
Haykey Scanlon
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ぽっこりとしたお腹、たるんだ肌の「全盛期を過ぎた男たち」に宿る美を、削ぎ落とされた色彩が鮮やかに描き出す。新たな美学を切り拓く一作。
easternkicks.com
ユーロスペース限定!
『ベ・ラ・ミ 気になるあなた』
(漂亮朋友)
オリジナルグッズ
| Tシャツ「タイタニック」(白/黒)size: M/L | 5,000円 |
|---|---|
| Tシャツ「Oh, Such a man」(白)size: M/L | 5,000円 |
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ベースボールキャップ「ベルバッジ」 (赤/ピンク/ネイビーブルー)size: Free |
4,500円 |
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ベースボールキャップ「God of Pure Love」 (ミントグリーン/白/ネイビーブルー)size: Free |
4,500円 |
| ステッカーセット「Quotes/Characters」 | 1,000円 |
| アナログ・レコード | 6,000円 |
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ハンドメイド・ペンダント (ジャン・ジーヨン/シュー・ガン/シュエ・バオホー) |
3,000円 |
| アーティストコラボカード(サイン入り) | 1,500円 |
|
オリジナルポスター (シュー・ガンとジャン・ジーヨン/サウナ) |
1,000円 |
※税込 ※いずれも限定数
上映情報
| 地域 | 劇場名 | 公開日 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | ユーロスペース | 2025/11/15(土)〜 |
11/22(土)~28(金)の上映開始時刻
11/24(月・祝) 10:00の回上映終了後、対談を予定 |
| 千葉県 | キネマ旬報シアター | 2026/1/17(土)〜1/30(金) | |
| 北海道 | シアターキノ | 2026/2/6(金) | ※1日のみの上映 |
| 宮城県 | フォーラム仙台 | 【近日公開】 | |
| 栃木県 | 小山シネマロブレ | 2025/12/26(金)〜1/8(木) | |
| 長野県 | 上田映劇 | 【近日公開】 | |
| 愛知県 | ナゴヤキネマ・ノイ | 【近日公開】 | |
| 京都府 | アップリンク京都 | 2025/11/28(金)〜12/4(木) | |
| 大阪府 | 第七藝術劇場 | 2026/1/17(土)〜1/23(金) | |
| 兵庫県 | 元町映画館 | 【近日公開】 | |
| 沖縄県 | 桜坂劇場 | 【近日公開】 |