か行の作品一覧

1975年/カラー/デジタル/スタンダード/110分
タルコフスキーの自伝的要素の濃い作品である。過去と現在を交差させる中から、<私>の記憶が蘇る。木立に囲まれた祖父の家で髪を洗う母。暮らしに困り宝石を売る母に従いて行ったこと。火事で納屋が燃えた年に家族の許から去っていった父。電話が突然鳴る。母の勤める印刷会社の同僚が誰かの死を知らせてきた。校正ミスで、アタフタした大人たちのことを思い出す。時として校正ミスは、命にもかかわる政治問題を引き起こした。第二次世界大戦、中国の文化大革命、宇宙開発、中ソ国境紛争など、激動の世界情勢も描かれ、心象風景が次第に形づくられてゆく。見た後、いつまでも余韻が残る不思議な魅力に溢れる作品である。ちなみに母のカットに流れるのは、タルコフスキー自らが詠む実父アルセニー・タルコフスキーの詩である。
kagami

カスパー・ハウザーの謎

kasupa
2019年1月7日(月),1月10日(木) 名古屋 シネマスコーレにて上映決定!!

『カスパー・ハウザーの謎』

1974年カンヌ国際映画祭審査員グランプリ/FIPRESCI賞/エキュメニカル賞
1975年ドイツ映画賞最優秀美術賞他

出演:ブルーノ・S
音楽:ポポル・ヴー 使用音楽:ヨハン・パッヘルベル オルランド・ディ・ラッソ他
1974年/日本語字幕付き/デジタル・リマスター版/109分/デジタル・リマスター版/BD
 映画史上に残る傑作。1828年、ニュルンベルクの路上で、言葉も喋れない青年が発見された。地下室に閉じ込められていたようだ。彼はカスパー・ハウザーと名付けられ、ある篤志家に引き取られ、言葉を習得して通常の生活を送るようになるが、突然正体不明の男に殺される・・・。
カスパーはナポレオン二世の落とし子などの噂もあるが出自も暗殺の真相も不明。小説・音楽など多くのクリエイターを引き付けたこの実話を題材に、ヘルツォークは、精神病施設からの脱走を繰り返したというアマチュアのブルーノ・Sをカスパーに起用。

キンスキー、我が最愛の敵

キンスキー
©Werner Herzog Film
1999年サン・パウロ国際映画祭最優秀記録映画賞他
原題:Mein Liebster Feind
1998-1999年/独・英/カラー=モノクロ/95分/デジタル・リマスター版/BD

10代の頃、同じ下宿で暮らしたヘルツォークとクラウス・キンスキーの最狂コンビで
作った映画は5本。ヘルツォークは撮影現場で〈キンスキー殺し〉を持ちかけられ、
キンスキーに銃をぶっ放されたスタッフもいたとか。凄まじいエネルギーが伝わる
ドキュメンタリー。

                  

鉱毒悲歌

煙害で枯れた足尾の山
煙害で枯れた足尾の山
 
koudoku2
田中正造と最後まで行動を共にした島田宗三さん
制作委員会:谷 博之/猪瀬建造/野添嘉久 山崎守邦/岸 博明/石川征子
撮影スタッフ:宮島義勇/趙 根在/中村和夫
ナレーター:辻萬長  録音:櫂の会  資料提供:下野新聞
協力:谷中村強制破壊を考える会/谷中村遺跡を守る会
1974年~1979年ごろまでの制作参加者:相ケ瀬好郎/宇塚昭二/柳田幸恵
滝田香代子/谷 博之 
蘇る『鉱毒悲歌』制作委員会:小川修二(㈱歩行社)/鎌田泰二・鎌田篤子(和紙あかりアート和灯屋)/坂本道子(㈲アートセンターサカモト)/武井貴志(㈱テイクス設計事務所)/戸崎嘉博(㈱プロテック)

 
日本最初の公害事件足尾銅山鉱毒事件。製作開始から40年、幻の記録映画が甦る!
田中正造による告発で知られる栃木県渡良瀬川の足尾銅山鉱毒事件。煙害で消滅した松木村農民の話、雲竜寺に佇む坑夫の墓、住職が語る強制連行の話。銅山閉山後も続く珪肺病患者の闘い。さらに渡良瀬川下流、谷中村の芦原に佇む旧谷中村の墓地、その遺跡を守ろうとする人たちの活動、葦刈り権を巡る旧谷中村村民と周辺農民の争い、津軽海峡を渡り、北海道佐呂間に移住していった農民とその子孫の苦闘の姿を、カメラは淡々と追い続ける。最後まで田中正造と行動を共にした島田宗三さんのインタビューは貴重な記録である。谷中村農民に思いを寄せる田中正造の姿が伝わってくる。

精神 こころ の声

SOKUinn003-f

監督:アレクサンドル・ソクーロフ

ロカルノ映画祭ソニー賞
1995年/露・独・日(パンドラ)/カラー/328分(5話編成)

旧ソ連のタジキスタンでの内戦に派兵されたロシア軍兵士たちを撮った金字塔的作品。映画に登場する兵士全員が戦闘で死去している

こつなぎ〜山を巡る百年物語〜


kotsunagi-main

企画制作:菊地文代 監督:中村一夫 撮影:前島典彦 語り:すま けい
記録資料 撮影:菊地周 スティル撮影:川島 浩 インタビュー録音:篠崎五六
制作:㈱周

文化庁映画賞優秀賞受賞
1960~2009年/日本/モノクロ+カラー/120分/DVカム
大正時代に始まる岩手県小繋地域の入会権裁判の記録と、現在の暮らしを軸に展開する本作は、東北農民の暮らしを描き、大正から平成に至る日本の軌跡をあぶりだし、裁判の記録から飛躍して、生活する事を根源的に問いかけた深遠なドキュメントである。小繋裁判は、<社会的共通資産>(コモンズ)を提唱する宇沢弘文教授や戒能通孝教授らに支援され、同理論を提唱したエリノア・オストロム教授には、後の2009年にノーベル経済学賞が授与されている。3,11後、地域社会の大切さが見直されているが、本作はそれを守ろうとした気高い人々の物語である。

パンフレット販売中

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ドキュメンタリーカルチャーマガジン「neoneo」掲載 弊社代表 中野理惠の連載
「すきな映画を仕事にして」第61話 62話で『こつなぎ〜山を巡る百年物語〜』に触れています
●第61話 「こつなぎ」との出会い
●第62話 最終話 最近の配給作品のことなど

kotsunagi2 kotsunagi3

孤独な声

kodokunakoe

ロカルノ国際映画祭銅豹賞
1978年=1987年/ソ連/カラー/86分
ニキータとリューバの愛の物語。タルコフスキーの擁護にもかかわらず上映禁止に。ひたすらコンクリートをこねる労働者、貧しい市民生活の描写などが、当局のカンに触ったのだろうか…

小人の饗宴

kobito

出演:ヘルムート・デーリング
1969―1970年/ドイツ/日本語字幕付き/96分/デジタル・リマスター版/BD
人里離れた施設で始まったアナーキーなドンチャン騒ぎ。衝撃的な内容に物議を醸したが、世界のアートシーンに与えた影響は計り知れない。ヘルツォークは「ニワトリが恐ろしいと示したのは私が最初です」と語る。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ドキュメンタリーカルチャーマガジン「neoneo」掲載 弊社代表 中野理惠の連載
「すきな映画を仕事にして」第41話で『小人の饗宴』に触れています
●第41話 ヘルツォーク作品との縁

コブラ・ヴェルデ 緑の蛇

kobura

1988年ババリア映画祭最優秀作品賞/最優秀録音賞 他
出演:クラウス・キンスキー
1987年/ドイツ/110分/デジタル・リマスター版/BD
19世紀初頭のブラジル。フランシスコは農園主の娘に手を付けたため、アフリカに飛ばされた後、奴隷商人コブラ・ヴェルデとなるが、勲功をあげアフリカ総督になる。だが、栄華は続かず、首に懸賞をかけられる身に・・・。稀代の役者、クラウス・キンスキー出演作品

7番房の奇跡

main
監督・脚本:イ・ファンギョン
出演:リュ・スンリョン(『王になった男』)/パク・シネ(『となりの美男』)
2012年/韓国/カラー/127分 日本語字幕付
提供:コムストック・グループ

第50 回大鐘賞最優秀主演男優賞・審査員特別賞・最優秀脚本賞・最優秀企画賞
第49 回百想藝術大賞映画部門大賞・女性人気賞
第34 回青龍映画賞韓国映画最多観客賞
第33 回韓国映画評論家協会賞助演女優賞

無実の罪で投獄された知的障がい者の父と幼い娘との絆が、周りの人々の心までを変えていく奇跡を描き、韓国のアカデミー賞で歴代最多の12部門にノミネート、4部門に輝き、韓国映画歴代動員3位の記録(公開当時)を樹立した大ヒット作。夢を忘れたすべての大人に贈る“塀の中”で起きた父子の感動の物語。